今回はFUKUBORIの製品、Field Pantsについて書いていきます。
このアイテムはFiled Jacketとセットとして考えて制作しましたが、ビンテージの深堀り自体は2022年末頃にM43Cargoとどんな風に違いがあるのか比べてみる為に取り組んだ経緯がありました。
そして2024年、M65の展示を事務所で行うと決めた事で引っ張り出してきました。
ジャケットのように年代を追って比較までは出来ていないのですが、僕なりに考察してFUKUBORIでサンプリングしています。

シルエットゆったりとしたストレートフィットです。
足元にも余裕のあるシルエットですが裾にドローコードが通っているので裾を踏まないように調整する事が出来ます。


生地にかんしてはジャケットと同じくコットン100%のバックサテンを採用。
(詳細はジャケットの方に記載しています。こちらからどうぞ


分かります。

M65カーゴをコットン100%のバックサテンで作るという事は、
「それならM51じゃないか!」
そんな意見も聞こえてきそうです。
分かります。でもね、M51との違いは生地だけじゃないのですよ。
でも考え方によっては、M51をM65の仕様に寄せて作ったと言い換える事も出来てしまうかもしれないですね。
なんにせよ、FUKUBORIが特に重きを置くのは仕様なのです!

ディティールは可能な限り当時の物を踏襲するようにしました。
可能な限りやりきるFUKUBORIとしては当然と言えば当然です。

目に見て分かりづらい点で拘ったのは、ウエストの見返しのパーツを直線にしている事です。当時の物がそうだからと言ってしまえばそれまでなのですが、この点に関しては再現が簡単では無い上に、シルエットにも影響を及ぼす部分でもあります。
なのでかなり重要視しています。

ウエストの見返しというのは、身頃の形に合わせて作成される事が多いのでほとんどの場合はカーブした形状になります。
人の体は直線では無いので上側と下側で長さが異なる事が要因ですね。

本来カーブであるべき部分を直線にして縫うので寸法が合わない部分が出てきてしまいます。
それを現実にする為にパターンの形状を工夫したりしながら、最後は半ば強引に縫製されています。



カーゴポケット

ポケットもそのまま採用しています。
内側に止血テープとして長い綿テープが収納されており、脇に空いた釦ホールから外に出すことが可能です。
当時は止血の為に縛ったりするためのものでしたが、着用のアレンジが可能な仕様とも言えそうですよね。

Filed Parkaにこそライナーを制作しましたが、パンツにおいてはライナーの制作は行いません。
では、ライナー着脱用の内側の釦とタブは残すのか?
はい。残します。


これはやり切るスタイルのFUKUBORIらしさの追求という事に加えて、面白いとも感じている部分でもあるからです。

それは、タブの取り付けが途中の段階で仮止めされているのですが、その仮止めが閂止めで付けられています。
それが仮止めだと言い切れる理由として、表側には見えていません。
完全に途中の工程で取り付けられています。
強度という面も多少はあるのかもしれませんが、閂止めのミシンでガチャンと一発押さえてしまう方が効率的だったのかな?なんて思ったり。
このように思考を巡らせてくれる仕様は大好物なので、絶対残したいのです。

内ポケットも残しています。
こんだけ収納できるポケットがあるのに、内側にこのポケットが必要だった。

そういえば、縫製工場はジーンズと同じく、Bottomsが得意な工場さんにお願いしています。
多くの取引先を持ち、ビンテージの仕様もやり慣れているので普通なら断られる事も許容してくれる最高の工場さんです。

裾のドローコードもしっかりと絞れるような紐の通し方になっています。
どっちでも良いようで、実は全然違ってくるから面白いです。