Wrangler 111MJ(24MJ)
今回の深堀りで僕はラングラーが好きになりました。
どこに魅了され好きになったのか?についても書かせてもらおうと思います。
ラングラー?と少し敬遠しがちな方には新しい扉を開けるきっかけに。
すでにラングラー好きな方はうんうんと頷きながら読んで頂けると幸いです。
そもそもラングラーに手を出すきっかけは2023年4月に開催した
『服ヲ掘ル』と題した展示会のテーマをGジャンにした事でした。
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服ヲ掘ル Vol1 展示の様子
ご来場いただきました皆様、本当にありがとうございました。
またやりたいと考えていますので皆様、今後とも宜しくお願い致します。
Wrangler 111MJのシルエット
全体のシルエットはかなり細身な印象で、リーバイスも交えて例えるのであれば『2ndと3rdの間』といった感じ。
当然、着る人の体型にもよるのですがスタイリッシュなGジャンとしてのバランスはとても良いように思います。
Wrangler 111MJ フラップ&ポケット
ポケットを止付けるステッチとフラップを止付けるステッチは糸を切らずにそのまま縫われています。
当時のミシンにワンタッチで糸を切る機能が無かった事により、効率を最適化した結果このようになった。というのが考えられる要因かなと思うのですが図らず起こるステッチワークが魅力的でしびれます。
そしてこの仕様はラングラーだけでなく様々なビンテージアイテムで見る事が出来ます。更に現在の物づくりでこの仕様を採用する事はむしろ難しい事であったりします。再現が出来ない訳ではありませんが、当たり前から外れる仕様なので何故、どのようにしたいのかを工場さんに理解してもらう事から始めなければなりません。
裏面を見れば一目瞭然です。ここまでわかりやすいのもペン差しがある事でフラップのステッチの始まり位置がズレているからなのですがそれもまた良いですよな~。
Wrangler 111MJ ベルト付けステッチ
ベルト付け側の先が身頃に落ちています。
『あ~、、縫製があんまり上手時じゃなかったのね』
そう思ったあなた。ちょっと待って下さい。
僕も初めはそう思いました。
ですが違います。これは意図的にステッチが落とされています。
凄いでしょ?面白いでしょ??
何故落としているのかを僕なりの見解で解説します。
ベルトの付け側はチェーンステッチです。
チェーンステッチは糸の解れに弱く、返し縫いも出来ません。
そこで問題になるのは縫い始めと縫い終わりの始末です。
このラングラーの縫い方であればチェーンステッチの端が表に見えることなくベルトの中に縫いこまれます。
なんと考えられた仕様なのでしょうか!驚きました。
ワークウェアと侮る事なかれ。
めちゃくちゃ考え込まれている事が分かります。
デザイン性もさることながら、こういったビンテージオタクの心くすぐる仕様がきちんと盛り込まれている事に、後発ながらもデニム三大ブランドの一角を担う理由を感じずにはいられませんね。
リーバイスではステッチで押さえてあったり。
リーではベルト先の仕様がそもそも変えてあったり。
ベルト先に始末というのは各々のアイデンティティを感じる事が出来る部分かもしれませんね。
Wrangler 111MJの衿の中
衿の中身は?
衿の中には表地が当てられています。(裏衿側)
リーバイスには無い仕様です。101J(leeのGジャン)を見た時に感じたのと同じく衿の腰を意識した仕様かな?なんて思ったのですがよく見ると位置が結構上側に付いているような?
個体差の可能性は否めませんが少なくとも僕が見た2枚の個体は同じようになっていました。
なんでだろう?
正直、この答えは僕は持ち合わせていませんし、しっくりくる見解もありません。
衿の返りやしっかりさせる為で無いとするならば、着用によるダメージの為?衿の部分は実はかなり擦れる部分であり、一番にそこが敗れている物も多く見られます。
なのでそこの補強??なんて事も考えましたが、裏衿に付いているし中に当てても破れの防止にはなりません。なのでその予想は違いそうですね。
Wrangler 111MJ 一筆ステッチ
前端~見返し押さえステッチは一筆。
少し見えずらいですがステッチがつなげてかけられていました。
前項のフラップ付けもそうですが、一筆でいれるステッチの効率が良かった事がここでも感じられます。
返し縫いの無い縫い端や1針たりとも解れの無いこの見え方は今となっては美しく見えます。
といっても衿で縫いこまれて見えないんですけどね。
Wrangler 111MJのポケット口
ポケット口。
パイピングはチェーンステッチでした。
解かなくても見えるけど見落としがちな、そんな部分。
Wrangler 111MJ 左綾デニム
生地は左綾。
これもわざわざ僕が書く事では無いのですが、LEEでみた左綾とは印象が少し違う気がしたので載せてみました。
左綾特有の、良くも悪くもな縦落ちの感じがそんなに無いような。
なんて生地素人が書いてみました。
お詳しい方、是非ご教授お願いします~。
Wrangler 111MJ ポケット袋
このポケットは表にも見える形でステッチが入れられています。
ビンテージのCHAMPIONJACKETでも確認したのですが恐らく裏側から縫われていると思います。
表と裏どちらから縫うのか?
そんな事も面白さの一つですよね。
Wrangler 111MJ ブランドタグ
恐らく綿とレーヨンで構成されたタグだと思うのですが、綿の風合いとレーヨンの光沢が良い感じ。ビンテージでは割と見る組み合わせですが、レーヨンを使うと洗いや加工などの強いダメージに耐えられないので要注意が必要です。
Wrangler 111MJ リベット&釦
Wrangler 111MJ フラップ
先に見た写真ですが、ここで見て欲しいのはステッチでは無くてフラップです。
上側がワサになっているのが分かるでしょうか?
フラップの下側はカーブした形状になっていますが二つを縫い合わせる仕様では無く、1枚を二つに折る仕様。
とまぁここらへんで、終わりにしようと思うのですがいかがでしょうか?
ラングラー良いじゃん!ってなりませんか?
王様はリーバイスという意見は変わりませんが僕はラングラーも好きになりました。
服ヲ掘ルという展示会をして沢山の気づきや学びを得る事が出来ました。
先人たちが創意工夫して作り上げた服を僕は解体してしまっています。
『未来に伝えたい。残したい』
なんて大層な事を言うつもりはありません。
現在の完成された服作りに、少し面白味や深みを加える一助になれば嬉しいですし、服って面白いっしょ!みたいな事を伝えられたら更に嬉しいな。
僕はビンテージを解体する男の中の一人だと他覚されていると自分でも自覚しています。
今は虎の威を借りてそのまま突き進みます。
というわけで、
今回も楽しかった!
【Wrangler 111MJ(24MJ)】これにて。