Vintage Levi's 506XX-後期型
どうも皆様宜しくお願い致します。
今回はリーバイスの名作である506XXを掘っていきたいと思います。
他ではなかなか見る事の無い視点で見ていきますので、
Vintageウェアという迷路を、いつもとは異なる視点でお楽しみ頂けると幸いです。
1st.2nd.3rd
リーバイスのGジャンを3型は必ず掘ってみたい。
そんな思いで最近は取り組んできました。
「デニムは過去の誰かがやりつくしているのに今更?」
「何をやっても先駆者に勝てないでしょ」
そんな風に言われ悔しい気持ちになる事もありましたが何か意味があると信じ、コツコツと掘り進めました。
意味があったのかはさておき投稿を見た方や事務所に遊びに来てくれる方から
「楽しかった」
と言ってもらえる事も増えてきました。
それではまずは一番のお気に入りのポイントからご紹介します。
フラップの裏は薄い別布になっていて地の目も表と逆。
これはご存じの方もきっと多いはずです。
そしてココを身頃の裏側から見てみると、
フラップの付けるSTとポケットを付けるSTが切られることなく続けてかけられています。
表面で見えないのは恐らく糸が切れてしまっていると思われます。
そしてこれは効率化された事による仕様なのです。
ミシンに糸を半自動で切る機能が無かった事で出来るだけ一筆で縫えるような工夫がなされていたと考えられます。
このアイテムだけでなく様々なVintageアイテムで見られる仕様でもあります。
今となってはこれを再現する方が大変です。
前端の衿付け止まり部分です。
これは解かなければ分かりませんでした。
前端の折り込みが衿付けの部分まで折り込まれる仕様になっていて、それを隠す為に深く衿を付けたのでは??と推測が出来ます。
衿を深く付ける理由は他にもあるのですが、色んな可能性に想いを馳せるのは楽しいですね~。
前のヨーク接ぎは端まで巻き縫いでは無くて途中まで、なので前端の部分は巻きのステッチとは別に押さえるステッチがあります。
これについては、
身頃側は耳使い。ヨークは折り込み。
それが条件になるので注意が必要です。
袖口の明き止まりのステッチの感じが実は結構丁寧です。
巻き縫い、三つ折り、それとは別にU字型に押さえステッチが施されています。
ここについても後々はもう少し簡素化されていきます。
前端のプリーツ押さえステッチ。
この押さえステッチはなんのためにあるのか??
この問題ずっと分からずにいたのですが、どうやらサイズ調整機能だったようです!!
お腹が太ってきたら解いてね。という事なのだろうけど、現実に解いて着ている人を見た事が無い。
釦の裏側。
この形状しているにはこの時期までです。
これぞ普通には見えない部分ですね。
リベットは上側のパーツに穴が開いてるタイプです。VINTAGEって感じですよね。
刻印は表側のみにしかありません。
その後両面に刻印されるように進化していきます。
こういった進化の歴史も量産されたビンテージならではで面白いです。
ピスネームの裏側。
せっかくなので解体しないと見れない側にしてみました。
尾錠のバックルは後期モデルなので針無しです。
もう一度全体を見ていきます。
直線的な部分が多いように感じます。
それもビンテージには見られがちな特徴で、裁断や縫製の都合を考えて本当に必要な部分以外は意図して直線的に作ってると感じます。
一つ大きなポイントを上げるとしたら、袖の切替部分は完全に直線です。
つまりシルエット操作をするための切替線では無く、単なる切替です。
さらに言えば、生地の使う量を出来るだけ減らす為の切替です。
画像では分かりづらいですが、生地のタテとヨコが交わる切替線があります。
前後のヨーク(身頃上側の切替)の縫い合わせ部分と、裾のベルト部分、カフス部分です。
因みに、このアイテムの生地はタテとヨコの洗いによる縮み量が異なります。
ヨコよりもタテの方が洗う事で大きく縮みます。
それにより何が起きるのかと言いますと、
タテとヨコが交わる部分には型紙では決して再現出来ないイセ込み(ギャザーみたいなやつ)や歪みが発生します。
パターンでは決して再現出来ません。
(近づける事は出来る事もある)
何故出来ないのか?
パタンナーさんは縫い段階でイセ込んで縫えば再現可能でしょ。
そう思うかもしれません。
ですがそれもそう簡単なことではありません。
巻き縫いという縫い方は特殊なミシンを使用するので本縫いのミシンのように
繊細な事が出来ない事も多くあります。
ギャザーともなると厚みの問題も解決しなければなりません。
などなど、、
様々理由から難しいという結論になります。
まぁ、サンプルだけ(1枚縫うだけ)であれば結構大概の事は出来たりするんで
本当に時と場合によるんですけどね。
なによりも、ビンテージを面白がる皆さんはそんな小手先の感じなら要らない。と言ってくれると期待してます。笑
そこのいせ込みの感じが必要なのであれば、生地をビンテージに寄せる方が断然良いよね~。
最後に僕なりに作った仕様書を掲載しておきます。
かなり主観も入っているのであくまでも参考程度に見て下さいね。
どのGジャンが好き?
そう聞かれると確実に上位に入ってくるであろう506XXですが、
やっぱり好きだなって改めて思いました。
良い意味で変態だね。そう言われる事も多い僕ですが、
最後まで読んでくれたあなたも相当な変態ですね!
本当にありがとうございます。
今回も楽しかった!!
LEVI'S 506XX-後期
これにて。