どーも皆様宜しくお願い致します。
PATTERN LABO.イカさんと申します。

 


古き良きVintageウェアをバラバラにして、考察、妄想する事により今の物づくりをもっと面白い物にするべく邁進中です。
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ここではVintageアイテムを破壊し考察した結果を超絶マニアックな視点で語りつくしていきます。

501XX-47モデルとは?

501XX-47

levi’sの501XXの通称47(よんなな)モデルと呼ばれるジーンズですが47とは大体の年代を指します。
このジーンズは世界大戦後1945年後1946年にS501XX(大戦モデル)の生産が終了した後から1950年初期頃まで生産されていたとされる501XXです。

戦後という表現をするのであれば46じゃないの?
そう感じる方もいるかもしれません。
46と呼ばれないのは1946年は移行の年であり、最も希少な501XXの一つとして46モデルという物が存在している為です。

また、後ポケットに付くタブにあるロゴが片側にしか無い所から、片面タブ(ONE SIDE)と呼ばれたりもします。

Vintageあるあるですが、47にも前期型や後期型などの細かな年代分けも存在しています。
ベルトループの巾やサイドステッチの長さから今回解体したのは前期型かなと予想できそうです。

47に関する説明はこれくらいにして、今回見た個体だけにフォーカスして、僕なりの視点で見ていきたいと思います。



シルエットについて

501XX-47 バラバラ

『テーパードが少ないストレートシルエット』

『やや細めのストレート』
『47はすっきりしている』
など調べてみると色んな意見が散見されます。
実際はどうなのでしょうか?
ストレートである事は間違いないのですが、同じ501で年代毎に本当に差があるのでしょうか?
気になるので僕の所にある47、両面タブ、66前期を重ねて確認してみました。
僕の所にある個体についての話ですのであくまでも参考程度ですが、そこまで大きな差はありませんでしたが多少47の方がテーパード感が強く股上が深い感じはします。
とはいえ明らかに違いました!というようなものでは無いのでご注意くださいね。


生地について

501XX 生地


生地についてはあまり詳しくありませんが、この年代の生地は独特な雰囲気がある気がします。
ザラ感というかなんというか、良い意味で粗野感があるというか。


後ポケット

ポケットたたきつけの出だしのふくらみ

501XX-47 バックポケット

ポケットの叩きつける出だしは膨らんでいます。
個体差という事ももちろんありますが殆どの場合でこのようになっています。
何故なら、隠しリベットを避ける必要があるからです。
更に言うならば、隠しリベットの際の縫代を中に隠す為とも言えます。

隠しリベットの切り込み位置

501XX 47タイプ 隠しリベット切り込み


隠しリベットの切り込みは脇側です。
この切り込みの位置にこそリーバイスの隠しリベットへの拘りを感じます。
隠しリベットというのは特殊な作り方をするのでポケット口の縫い代に切り込みを入れる必要があります。
その切り込みをどこに入れるのか?
これが大事。
『ポケットの端』
『ポケット端から1.5㎝くらい入った位置』
のどちらかです。
世の中にはどちらの製品も存在するのですがVintageリーバイスにおいては今のところ僕の見解では100%前者です。
どちらでも変わらないという事ではありません。
何を目的にしているのかで切り込みの位置が変わります。

ベルトループ

ベルトループ


ベルトループが長い。
47の初期なので1.5㎝巾のループで長さが7.5㎝もありました。
7㎝でも長いのにさらに長いです。
因みに、この47ベースに今の物づくりに合わせて「お任せ」という指示で僕がパターンを作成したとしたらループの長さは7センチにしちゃうかも。
何故かと言うと、ベルトループを自動で付けるミシンが7センチまでしか出来ないという事があります。オートベルタ―を使えるのかどうか?使うのかどうか?
はさておき、どちらでもいけるように作るかなぁと。



コインポケット

501XX コインポケット


Vintageの501を多くみているとポケットの歪みがある物が多々あります。
解体したものに限らずお仕事でVINTAGE501を参考に作るパターンにおいても同じです。
ですがこれを見れば分かるように、折り込んでいる巾に均一性がそこまでありません。
そこから推測されるのは、コインポケットに関してはアイロンの工程を入れず、縫製士さんの手加減に任せていた可能性すらあるなぁと。
この個体としては後ポケットのように出だしの形がかなり特徴的です。
ここでやはり思うのは縫代を入れ込むために膨らむのだろうなという事ですね。
ポケットの叩きつけ部分とポケット口ではポケット口が後折りという事も要因の一つですね~。


脇と股の縫い代

501XX脇耳使い

501XXー47 内股の縫代


501XXの古い物は股の縫い代が細いです。
脇の縫い代も細いです。
縫いにムラがあるので100%とは言い切れませんが当時はインターロック(地縫いとロックを一緒にするミシン)が無かった事から、地縫いとロックは別々に縫います。
なので、股の縫い代と脇の縫い代を揃えた方が効率が良く8㎜程度の縫い代になったのかなと想像できます。
8㎜になった理由も押さえ巾など何かの要因がきっとあるのだろうな。

なんにしても、、
知れば知るほど言い切れない世界だなぁと感じますね。

 

後ヨーク(山接ぎ)縫い合わせ

501XX 47タイプ 後ヨーク

縫い目がズレています。
これの根本的な理由は、CBは切替線上では無くステッチの中心だからです。
巻き縫いの縫代の取り方の影響による所ですが、縫代は切替線をベースに見た時に左右で1センチと2センチで異なっています。
それでも左右を×2枚で裁断する為、斜めの切替が交わるこの部分はズレてしまいます。
なので切替の角度によってもズレ方は変わるし、今は縫製士さんが上手く合わせてくれる事も多いです。ズラしたいときはきちんと伝えましょうね。
しかし巻き縫いで縫い目バッチリ合わせるの凄いなぁ。

 

ベルト付け

このベルト付けが実は結構重要なポイントとして見る事が出来ます。
年代判別やリーバイス以外のデニムブランドとの比較などしてみると各社拘りを持って仕様を決めていたんだろうなと感じるくらいです。

上前側ベルト付け

ベルト上側のステッチは本縫いで縫われていて、身頃に1針落としてL字に曲がる事で解れてくるリスクを避けています。(真っ直ぐ縫うと比翼に干渉するかもだからかな)
ベルト下側はチェーンステッチなので確実に上側のステッチで押さえる必要もありますよね。

下前側ベルト付け

501XX 47タイプ Vステッチ

上前側同様に身頃に落とすまでは同じですがこちらはV字に縫われいます。
このVの形からVステッチと読んだりする事も多いですね。
そしてこのVの形をどのように収めるのか?という所にも今の物づくりでは拘りが出てきます。
というのも、このVの形は個体差が結構ある印象なので「VINTAGEはこれが正解!」というのが無いです。
というかほとんどの事にそんな正解無いですね。
この個体は全然違いますが、Vステッチの終わりを釦を打つ位置にすることが多いです。
釦を打つ目安になるので良いとも言えますが、僕としてはそれにそこまで重要性は感じていません。
なぜなら、そもそもボタン位置を確認しなくても打つ事が可能な位置なので、縫う段階で位置を狙う手間を考えるとどっちが効率的かは難しい所だなと思うからです。
是非お手持ちのジーンズを見てみて下さいね~。

股ぐり

501XX 47 小股

この股の部分を小股と呼びます。
ここの縫製もとんでもなく奥が深いです。
が、今回はここの縫い糸が太い番手だよ。という事に触れておきます。

 

前ポケット口

501XX 前ポケット口

1㎜控えるのか?
いつもこの問題に直面します。実は結構悩むポイント。
まず一つ大事な事。
カーブだけと縫代のカットはしていませんし、デニムに関してはしない方が良いと僕は判断しています。
カットしてあると色が落ちてきたときにアタリとして目立つ可能性があるからです。

釦やリベット

501XX-47 釦

釦の裏側に棒が一本通っているのが分かるでしょうか?
これがね、良いんですよ。
というのも、これ以降のボタンはこの形状では無くなっていきます。
506XXや507XXについて書いた時にも触れたかな?

リベット

501XX 47TYPE リベット

かなり見えずらいですが、上側(丸い穴の方)への刻印は片側です。
その後両面の刻印に変わるのですが、リベットを取り付ける際に表と裏の認識をして確認して打つのと、表裏関係なく打つのではスピードが断然違います。
間違えてしまった。なんてことも起こらないですし良い事ばかりですね。
両面に刻印するコストよりも効率化の方が結果的にコスパ良かったのね。
なんて考えてみるのもまた面白いです。

501XX 隠しリベット

こちらは隠しリベットです。
表に付いているリベットとは見た目が違っています。
表と同じリベットを付けるとデメリットがある事を理解した上で使い分けているという事は、それだけ後ポケットにリベット打つ事に拘りがあったという事を物語っていますよね。
そんな風に思うと、お尻に優しくない隠しリベットも愛おしく思えてきます。
因みに僕は、隠しリベットは仕様としては大好きですが、穿くという事に焦点を当てるとそんなに好きでは無いという感じです。

というわけで、
今回も楽しかった!

LEVI'S LEVI'S 501XX‐47これにて。