Royal Air Force-MK3
どーも皆様宜しくお願い致します。
PATTERN LABO.イカさんと申します。
古き良きVintageウェアをバラバラにして、考察、妄想する事により今の物づくりをもっと面白い物にするべく邁進中です。
今回はRoyal Air Force 【MK3】です。
Royal Air Forceというのは英国空軍を意味します。
US Air Forceが米国空軍を指す事を考えればBritish Air Forceでは無い事に多少違和感を覚えますよね。
Royal(王立)という言葉が付くのは王室の部隊という話もありますが
イギリス3軍をまとめてArmed Forcesと呼びます。
その3軍とは
陸軍(British Army)
海軍(Royal Navy)
空軍(Royal Air Force)
を指します。
それを踏まえると王室部隊だけを指す訳では無さそうですね。
しかし陸軍だけBritishな事は不思議。
詳しい方いたら是非教えてね。
RAF-MK3とは?
細かな変更を繰り返しながら
1960年代から2010年頃まで採用されたアイテムです。
(それ以降はMK4となる)
結構長い期間作られてますね~。
今回の個体としては1981と表記があるので1981年製だと思われます。
全てのMK3の年代を細かく把握している訳ではありませんが、生地感やアルミZIP、袖ポケットのDETAIL等見ても個人的には良い時期だなと感じています。
コクピットに入る事を前提とした丈の長さとボリューム感のバランスが良い感じです。
着る人のサイズにもよりますが172~181と記載があるので記載サイズの小さい方(172)くらいの体形で着ると今っぽいのかも。
短いジャケットにも関わらずMK3の質量はすごいです。
2M×2Mでもとてもとてもすべては入らず重ねて入れる事になりました。
袖裏中のメッシュ
ここで言いたいことは二つです。
まず一つ目は、身頃全体のおおまかな構造は
【表地】【裏地】【メッシュ】
で構築されていて、表と裏に挟まれる位置にメッシュ布が隠れています。
メッシュと言えば通気性や軽量であることが特徴とされています。
裏地がメッシュであれば通気性や蒸れない事が目的で使用されたのだと思うのですが、今回は表と裏に加えてメッシュです。
構造的に必要不可欠では無い部分に追加する形でのメッシュ素材です。
という事は、外への通気性の為の採用とは逆で内側の熱を逃がさない為の採用だったのではと考えられます。
そしてこのメッシュが良い感じのボリューム感を出す手助けにもなっており、見えない部分ながらも特徴の一つだと思います。
二つ目は、
袖に限りメッシュは一部切り取られている。
という点です。
袖下の尖っている部分にはメッシュがありません。
袖下(脇の部分)には機能としても必要無いし、生地の厚みを減らしてゴワ付きを防ぐ工夫にもなっていると考えると、このひと手間にミリタリー関連アイテムの面白さや凄さを感じます。
芯の種類は2種類。
接着芯と布芯(接着無)
衿部分以外は全て布芯です。
仕様箇所は全体の画像でも確認できますが1か所だけ見えてない部分があります。
それは、右前身頃裏のパラシュート釦用のテープが叩きつけられている部分です。テープ付けSTを跨ぐように布芯が叩きつけられています。
そういえばパターンは作成しましたが、袖ポケットの裏側(表地裏側)には唯一、共布での当て布が施してありました。
二枚目の画像はポケット口が開いているように見えますが衿です。
衿ZIP部分
衿にはフード収納用のファスナーが取り付けられています。
このファスナー部分がやけに大きく作られていて驚きました。
正直言いますと、この仕様が何なのか僕にはわかりません。
そしておそらく皆さんも、何の事を言っているのか分からないと思います。
(伝えるの難しい)
意図的では無くアクシデントかな?と思って普通にパターンは作っているのですが衿付け部分の1cm程度飛び出した部分を見ると何かしら意図を感じます。バラバラにすると元に戻って確認できないところが悔しい所ですが、別の個体を見る機会があれば必ず確認してみようと思います。
フード用の紐のストッパー
わざわざマイナスドライバーが必要な事や形などこのストッパーのデザインがすごく好き。
製品に残される文字としての情報
これを見て僕は知らなかった事実を知りました。
左前身身頃にÐカン付きのループが付いているのですが、そのÐカンの用途が記載されていました。
それによると、ライフジャケットを着用していない際の酸素マスクのアタッチメントの為のÐカンです。
その内容からも Air Forceという部隊である構造や意味のある物づくりを感じて面白いですね。
アルミZIP
強度に問題があったとされるアルミ素材のファスナー。
それでも何故か魅力的です。
エポーレット
袖口マチ
今ちょうどM65Jacketを解体しているので尚更思うのですが
袖口のマチとタブが如何に重要なディティールだったのだろうと感じます。
縫製においては厄介者になる(付け方にもよる)事の多いパーツでよね。
フードの収納
フードは衿から身頃の中に収納出来ます。
そのつなぎ目は共地の四角い繋ぎのパーツが採用されています。
形
最後になってしまいましたが形について少し触れておこうと思います。
やっぱり最大の特徴は尖った袖下です。
このアイテムだけ。という形状ではありませんが明らかに運動量を意識した構造になっています。
要するに、身頃が吊られる事無く袖(腕)が上に上げられるように工夫されているのです。
MA1にも運動量は見られるのですが、形状が異なります。
そんな違いも面白いです。
というわけで、
やはりミリタリー関連は抜く部分と締める部分のバランスが面白い。
今回も楽しかった!!
Royal Air Force 【MK3】これにて。