どーも皆様宜しくお願い致します。
PATTERN LABO.イカさんと申します。


古き良きVintageウェアをバラバラにして、考察、妄想する事により今の物づくりをもっと面白い物にするべく邁進中です。

今回は

levi’s 501【BIG-E】後期モデル

501bige dead stock


1970年代の前半に作られていた5Pocketジーンズ。
以前紹介したBIG-Eの前期型の次の年代になります。
次の年代と言っても大まかには同じ括りでもありますけどね~。
僕にとっては大きな線があります。

今の所、僕の一番好きな年代は501XXの最後期~BIG-Eの前期型です。
その理由は大量生産の完成形への過渡期であるが故に、いろんな仕様が混ざり合う面白い年代だからです。
つまり今回のBIG-Eの後期モデルというのは大量生産の完成形に限りなく近づいた年代とも言えます。

そしてこれまでにないスペシャルな回です。
なぜなら今回はなんと、【DeadStock】です。
一度はDeadStockにも挑戦したいと思っていました。
普段目にするビンテージのジーンズは、往々にして経年変化が起きた後であり、それはつまり、捻じれや歪みが起こっているとも言う事ができます。

それに対してデッドストックであれば捻じれや歪みはありません。
つまり、捻じれる前の段階での形状の確認が出来るとも言えます。

DeadStockをバラバラにするという事


2022年1月3日新年早々の誰もいない事務所で一人、まだ硬さの残る濃紺のジーンズの縫い目に震える手でハサミを入れました。
するとその瞬間、これまでの解体では感じた事のない大きさの罪悪感に襲われました。
物づくりに関わる一人の人間として、まだ履ける状態の綺麗な製品をバラバラにするという事に心がざわつきます。

『それなら止める?いや、それでもやる!』

やってみたい。という興味が勝りました。

とはいえ、いつも以上に敬意を込めた形での取り組みにしたい!そう考えた僕は一つ覚悟を決めました。
『1針ずつ解く事になっても全ての縫い糸を分かる形で残す』
この決定によって解体にかかる時間はいつもの数倍になります。
その意味があるのかどうかも不明、完全な自己満足です。

そんな自己満足の結果をいつも通りここに残します。
少しでも楽しんでもらえたら幸いです。



全体像

501ビッグE
なんと、スペシャルな回と言いつつ、、平置きの写真の撮影を忘れました。
全体像を見れば捻じれが起きていない事が分かります。
そして経年変化が無い分、【見栄え】としてはスッキリした感じがします。
デニム生地に刻まれる歴史とはやはり奥深い物なんだなと再認識しました。

 

後ポケット

501DeadStock 後ポケット
ここに新しい発見は無いものの、身頃と同じで捻じれの無い状態での形状の確認が出来た事は良かった。(結局個体差があるけどね)

501DeadStockポケット口

ポケット口は本縫いです。
もっと後の年代ではチェーンステッチに変わっていきます。
この部分の本縫いとチェーンステッチの違いを
本縫い→シングル
環縫い→チェーン
という表現をしたりしますが、僕はなんで?と思ってます。
僕が身を置く製造現場ではシングルとは1本ステッチの事を指す事が殆どです。なのでシングルステッチと並んで使われる言葉はチェーンステッチでは無く、ダブルステッチという表現です。
なんでシングルって呼ぶようになったんでしょうか?


糸の配色や付属

501 縫い糸


糸の配色は金茶と黄色の二色に加えて閂止めやホールは黒。
ホールには芯糸も通っている。
(古い物には芯糸が無い。という説を聞いたので注視していきたいと思う)
それから、配色という程の事では無いが同じ金茶色でも微妙に薄い箇所があったりするのだけど、糸の色のlotブレとかかな?もしくは日焼け等による変化か?僕は前者ではないかと考えています。


向う布のステッチ


これは今回一番のつっこみポイントなのですが、向う布を袋布に叩きつけるステッチが、【青色】でした。(厳密には水色)
なんとも在り得ない個体差!
この色使いを僕は良いとは思わないし、ダメなパターンの個体差なのですが面白いポイントでもあります。
なんで?この問いに答えは出ませんが考えるきっかけをくれるポイントになりました。
因みに袋布側(下糸)は配色ではありませんでした。
【Bobbin】って書いてる方ね。

 

前の股ぐり、小股部分


めちゃくちゃ分かりづらいし、伝わるかわかりません。
持ち出し部分のステッチがそのまま小股の縫い代二つ折りの押さえSTになっています。
きっとこれまで見てきた501もこの縫い方がしてあった事だと思います。
再現するとかしないとかそんな事はどうでも良い事で、この理にかなった感じにテンションが上がります。

持ち出しの下側

持ち出し下端側には地縫いがありません。
折り込んであるだけなんです。
これもこの時期だけの特徴という事ではありませんが、VINTAGEの501は殆どこのようになっていると思ってます。
と言ったものの、僕が解体していないレベルの古い物は裁ち切り状態になっていたりしますね。


裁ち端がほつれる


これもデッドストックならではの部分ですが、解いた端がほつれやすい。
これは見た目にもよろしくないのです。

隠し閂止め

501DeadStock隠しカンドメ

後ポケットの隠しの部分です。
写真でけ見てもくみ取れる事は多いですよね。
縫代を折りこむ順番とか、ポケット口の切り込みの事とか。
そんな目線で是非見てもらえたら嬉しいです。

フラッシャー

501VINTAGEフラッシャ―

これについては僕は多くを語れるほどの知識を持ってないのですが、面白いと思った点があるのでご紹介です。
フラッシャーを取り付ける方法なのですが、なんとホッチキス止めされています。今の日本の物づくりでは在り得ない事(意図してそうする事を除いて)だと思います。面白いです。
それに、フラッシャー上の矢印がポケット口の隠し閂止めを指しているのだと初めて気が付きました。これまで知らなかったなんて恥ずかしいぜっ。。

仮縫い(仮止め)

せっかくなので最後にもう一枚。
袋布の上側と脇側は仮止めされています。
前のポケット部分がパカパカしないようにしてあるのですが、今のところ100%実施されていますね。


というわけで、
今回も楽しかった!!
levi’s 501【BIG-E】DEADこれにて。