どーも皆様宜しくお願い致します。
PATTERN LABO.イカさんと申します。


古き良きVintageウェアをバラバラにして、考察、妄想する事により今の物づくりをもっと面白い物にするべく邁進中です。

501E
詳しくはPATTERN LABO.のサイトを見てもらえたら嬉しいです。
https://ikajum.jp/
ここではVintageアイテムを破壊し考察した結果を超絶マニアックな視点で語りつくしていきます。

 

Vintage Levis 501-bigE 前期型とは?

bigEとは501の中で最も有名な時期の一つです。
1960年代後半から1970年代の前半の間に作られており、
XX(ダブルエックス)という表記が消えた重要なタイミングでもあります。
XXの表記が消えると共に、リーバイスの拘りをビシビシと感じる仕様である
隠しリベットもこのタイミングで消滅しています。

全てのVINTAGEデニム好きにとって、とっても感慨深い事だと思います。

501 bigE

現在、501に関しては

『66後期』『66前期』『66BIG-E』『BIG-E前期』『XX最後期』『XX47期』
と何度も解体してきました。

この501bigEの前期型が僕にとっては
【VINTAGEの501の中で1番好きな年代】と言えそうです。

大戦モデルやBuckleBackなど、
XXをもっと深堀していけば変わるかもしれませんが

当分の間は僕の中で1番のお気に入りだろうと思います。

501の中でこの年代が一番好きな驚きの理由は?

その理由は大きく分けて3つあって
1つ目は
糸の使い方がVINTAGEならではでめちゃくちゃ良い!
(後述します)

2つ目
チェーンステッチの使い方が好き。
(これも後述します)

3つ目
隠しリベットが無い。
隠しリベット(リベット)というのはリーバイスのジーンズを
語る上でなくてはならない存在でし、一人のVINTAGE好きとしては
隠しリベットは大好きです。

なのですが、製品として考えると、場合によってはお尻で踏むことになり
痛かったりします。
実際に僕の持っている隠しリベットのパンツは痛いです。
(リーバイスではありませんが、、)

とはいえ全ての年代にそれぞれ特徴があり魅力的です。
まだ見ぬvintage501を解体するのがとても楽しみです。


後身頃
501BIGE後身頃


BIG-Eの前期型が好きな理由1つ目であり最大の理由である糸使いについて解説します。
この時期の501というのはXX(生地の品質が最高グレードという意味)
という表記が消えていく過渡期の頃にあたります。
XXという表記が消えるだけであれば生地の話に感じるかもしれませんが
ここで言いたいのはそうではありません。
縫製においても様々な変更がなされていく過渡期と言えます。

まずは縫製に使われている糸です。
糸にはいくつか種類がありますが今は
綿でできた『綿糸』(自然な風合いがとても良いが弱い)
合成繊維でできた『スパン糸』(丈夫だが色落ち無し)
この2つを知ってもらえれば十分です。
これ以前の製品(厳密にはXXの最後期型はBIGEに限りなく近いのでそれ以前)に使われる糸は綿糸です。
そしてBIG-Eの後期型以降に使われている糸はスパン糸です。

では、今回のBIG-Eの前期はどうなっているのかと言うと、
『綿糸とスパン糸どちらも使われています。』
使われている箇所も大体は決まっていて
(VINTAGEなのである程度個体差はあります)
尻グリの巻縫いとヨーク接ぎの巻き縫いはスパン糸。
それ以外は綿糸になります。
つまり、巻き縫いの箇所はスパン糸です。

そしてなぜそれが分かるのかというと、
『糸の色落ち』
です。
画像では分かり辛いですが、スパン糸は色落ちしないので
濃い色が残っています。

「当時の人は色落ちの事までは考えなかったのかなぁ」
なんて考えるのも楽しいですし、
何よりも、、
【時代の流れとともに生まれる過渡期のデティールの混じり合い】
これが僕はとっても好きなんです。


後ポケット
501BIGE後ポケット


隠しリベットは無くて隠しカンドメだけの後ポケットの切込については
いくつかパターンがありあそうです。
この写真だとV字にカットされてる感じですがカットされてない個体も見たことがあります。
V字というか、端の縫代を折ってから斜めにカットしたのかな。

工場さん毎にやりやすいようにしていたのでしょうね。


脇線の地縫い

501ビッグE アウトシーム


これまたマニアックな、、、、という内容ですが
脇の地縫いがチェーンステッチになる前(66前期以降はチェーンステッチ)
の地縫いは太い番手の糸で縫われている事が結構あります。
そんな風に様々な番手が使い分けられて1本のパンツが出来上がるという部分も大きな好きなポイントの一つですね。

もっともっと昔(BuckleBack)の501も脇線の地縫いや小股のステッチが
太い番手で縫われているので、この太い番手の糸の使い分けはポリエステルの強い糸が登場するまでは強度が欲しい部分には使われていたんでしょうな。

写真の感じがいつもと違うのは、バラバラになってる個体は結構前にバラバラにしたので人に見せる目的で資料を残しておらず、、
当時コピー機でコピーした画像になっております。

服ヲ掘ルではじつは違う個体の画像を採用しております。
ここだけの話なので秘密です。
服ヲ掘ルとは?

↓は違う個体の方の脇線。

501BIGE前期



ベルトのステッチ

501BIGE チェーンステッチ


ベルトのステッチに関しては
bigEの前期が好きな理由の二つ目にも上げさせてもらいましたがチェーンステッチの入り方が好きです。

具体的には

・付け側のみチェーンステッチです。

???という人の為に解説すると。
ベルトのパーツには上側と下側どちらもステッチが入っていますが、
この上下のステッチが
・下のみチェーンステッチ
・両方チェーンステッチ
という事で年代の確認が出来たりします。
見た目が片側のみチェーンステッチが好きというのももちろんですが
片側チェーンステッチから上下チェーンステッチの変わったという事は
ミシンが変わったという事になり、そんな事に思いを馳せる事もポイントになります。
片側のみチェーンステッチなのはbigE前期だけでなく、これ以前の501XXにおいても同じ事が言えます。


袋布

501BIGE 袋布
袋にステッチが入っているので確認出来るのですが、
コインポケットはほぼ100%の確率で向こう布を袋布に付けた後でつける
ようになってますね。
今の物づくりで、表地が厚く硬い生地で、袋布が薄い生地、更にダメージ加工を入れたりするとコインポケットの角の部分が強く当たってしまい袋布が破れてしまったりします。
そんなときは向う布に収めるようにする事もあったりするんですよ~。

ポケット口はカーブだからか縫代出さないようにか、縫代が0.8くらいしかない。ここの縫代が細いのは僕が見た中では全ての年代で言えるような気がします。

縫い糸

501BIGE 糸

前述した糸の素材の違いによる経年変化の違いです。
もちろん、当時から色の違いは多少あった可能性はありますがここまでの差はきっと無かったと思います。時代の流れで変化が見えてくるなんて、、、最高かよ。

釦とリベット

501BIGE釦

501BIGE リベット

釦の裏の刻印の数字が何番か?
という事が気になる方も多い事と思いますが、今の所僕はそこに興味があまりないのです。

リベットについては素材の変化や形状の変化が面白くて好きです。
このアルミ素材のリベットがなんだかなんだ結構好きなんだよなぁと感じております。

コインポケットの雷

501BIGE コインポケット雷

コインポケットには耳はありません。
ですが、色落ちが好きな方も多数いるであろう雷皺と呼ばれるタテ方向のアタリ(色落ち)が見られますね。
何故こうなるのかと言いますと、
「生地のタテヨコの交わり」です。
土台になっている向う布の生地の方向と上に乗るコインポケットの生地の方向がタテヨコ異なっています。
整理加工のされていないデニム生地はタテ方向により大きく縮む事が多いのでそれにより、コインポケットに浮きが生まれ、皺になります。

セルビッチの生地で5PKを作る際に、ついついコインポケット口を耳使いにしたくなりますが、ここまで考えて敢えて耳を使わない選択も面白いですよね。

参考までに



今回も楽しかった!!

LEVI'S LEVI'S 501BIG-E 前期型
これにて。