解体した中でお気に入りの一つ。
最大の発見が沢山!!という事では無いのですが当然発見はあり、
全体のバランス感というか、、なんだかお気に入り。




脇部分の明き。ベンチレーションとして機能しつつ、レザージャケットのカマ底の
ごわ付きの解消にも繋がる。
注目したのは明き端にある補強部分は糸ループ状の閂。(正式名称だれかおしえて)



前明き下端。

レザーによる厚みの軽減が目的なのか、裏側の方が長くなっている。
少しの違いなら誤差で考えるところですが結構違うので意図的と思われる。




ポケット袋布の仕様。前身頃と裏返した状態。

結論から言うとかなり「強度」に拘って作られている可能性が高い。

というのも、袋布の奥側を手前側で包み込むような構造になっている。
粗野に効率だけを求めた結果だとしたら、端がズレても気にせずそのまま縫い合わせて
終わり…となるはず。なのに実際には多くの辺でしっかり包み込まれている。
これって型紙の段階から表裏を分けて設計しないとできない仕様。
つまり、ほぼ間違いなく意図的。

さらに胸ポケットの中を覗くと袋布が遊ばないように、
身頃のアームホール側と裾方向に向けて共布テープで固定されている。
これが!!!MA-1なんかによくあるような「裏地にSTでぶち抜き縫い」じゃなく、
繊細な仕様でまとめてある。細部まで細かく作り込まれていて、
こういうところにグッとくる。

もちろん「どちらが良い!」という話ではない。笑
ただ、ミリタリーウェア特有の「機能と効率の絶妙なバランス」が表れている
仕様を見ると、作り手の意図や想いが伝わってくるようで感慨深い。



先の続きで袋布。
この作り方はむしろ繊細を感じる事は無く、粗野な感じさえも感じる。
見えるところ(影響が出る所)と見えない所のバランス感が良い。
拘りがあってこの折り込む仕様にしているとしたら、強度を考えての事だろう。




全体を通して一貫しているのは「何のためにその形なのか」ということ。
形ありきじゃない。用途が先にあって、必要だからその形になった。
その積み重ねが、このジャケットのシルエットや仕様を決めているように思う。

そしてそれは単なる服としての意味に留まらず、国や時代、その背景にある思想までも映し出している。そこに触れるのはやっぱり感慨深い。

正直、レザーの製造については知識が乏しく、観察しきれるか不安もあった。
でも実際に踏み込んで見てみると、得られるものが大きく、挑戦して良かったと感じている。

やっぱり掘ってみると面白いですね。
また次の一着でお会いしましょう。
Luftwaffe Leather Flight Jacket
これにて。