Field Pants
FUKUBORIのField Pantsは、Field Jacketとセットで着用することを前提に設計されたパンツです。
ミリタリーパンツとしての完成度だけでなく、「なぜこの仕様が必要だったのか」という視点から、構造そのものを掘り下げています。
ベースにしているのは、M-65カーゴパンツ前期型。
シルエットは、ゆとりのあるストレート。
動きやすさを優先した設計で、裾までしっかりと分量を持たせています。
裾にはドローコードを配し、絞ることでシルエットの調整が可能です。
素材には、Field Jacketと同じくコットン100％のバックサテン生地を採用。
本来のM-65で多く使われるコットンナイロンではなく、
より前時代的で、重さと奥行きのある質感を持つ素材を選択しています。
生成りのままでも生地の表情が立ち、着用を重ねることで変化を楽しめます。
ウエスト周りは、当時の仕様を踏襲した直線的な見返し構造。
効率を優先した現代的なパターン処理は行わず、
ヴィンテージならではの構造をそのまま残しています。
カーゴポケット内部には、長い綿テープを内蔵。
脇に設けられた釦ホールから外に出すことができる仕様で、
本来は止血用として使われていたディテールです。
現在では実用することは少ないものの、
当時の用途と思想を伝える痕跡として残しています。
ライナー固定用の釦やタブも、パンツ自体にライナーは付属しないものの、
オリジナルの仕様を尊重して省略せずに配置しています。
途中工程が見える閂止めのタブなど、
“完成させすぎない”からこそ読み取れる情報が詰まっています。
縫製は、ボトムスの縫製を得意とする工場に依頼。
堅牢さと、ヴィンテージ仕様の再現性を両立させています。
FUKUBORIにとって、このField Pantsは
単なる軍パンではなく、Field Jacketと対になる「下半身の構造体」。
上下で着ることで、はじめて全体の思想が立ち上がる一本です。